リハビリさせないで下さい

 お孫さんから一通の手紙が届いた。
「うちのおばあちゃんは大変性格が強く、私の母が嫁に来てからは家族に辛く当たり、母を苦しめたと聞きました。おばあちゃんがよくなって自宅に帰ってくると、また母が苦しみます。今のままで結構ですから、リハビリはさせないで下さい」という内容であった。


 人間誰しも生まれ育ったところ、住み慣れた家での生活を願っている。そこには複数の心が存在する場合が多い。複数の心が手を取り合って一つ屋根の下に暮らすことを幸せというのだろう。しかし、その心たちが大きく一つになれなかったとき、離れた心を引き戻す手が、何らかの理由で出せなかった時、こういう悲劇が生まれることがある。
 

 私たちがどんなに頑張って良い施設にしていっても、住み慣れた家にはかなわないものがある。しかし、そこに帰れない理由のある人にとっては、ここが、このホームこそが、文字通り「家」にならなければならないのだ。